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子猫殺し

一冊の写真集がある。

「どうぶつたちへのレクイエム」  児玉小枝著


全国の動物収容施設で、間もなく命をたたれようとしている犬や猫を撮影した写真で構成されている。

収容所に<持ち持ち込まれる>犬・猫の数は年間42万。
犬の場合は町なかをうろついていると<狂犬病予防法>とかで、捕獲されて、それぞれの収容所に連れてこられるが、猫の場合はそうではない。ほとんどが<飼い主の手で>持ち込まれるのだ。

「処分して欲しい・・・」と。

「不妊手術はかわいそう」「手術をさせるお金がない」・・・などという理由で子猫を持ち込み、「もう飼えなくなったから・・・」とそれまで飼っていた猫を持ち込んだり。

持ち込まれた猫たちは、「もしかしたら飼い主が引き取りにくるかもしれない・・・」という犬と違って<猶予>はなく、翌日には<処分>されるという。

「でも、安楽死なんでしょ?」という声が聞こえてきそうではあるが、そんなことはない。
まず、麻袋に詰められて、ガス室に詰め込まれて、二酸化炭素で、苦しんで死んでいくのである。

で、一部、猫達のなかにもガス室送りを免れるものがあるという。
が、免れたところで、その猫たちに、ばら色の未来が待っているわけではない。

「人間に飼われていた猫は栄養状態もよく、雑菌も少ないので・・・」という理由で、<実験動物>として、ひきとられていくのである。
<実験動物>が<実験>されるときに、麻酔はかけられない。


動物収容施設に持ち込む行為と、今回、世間を賑わしている坂東真砂子さんの行為と、どこが違うのか?
猫の立場からしてみれば同じことである。


ただ、今回、坂東さんが<間違っている>とすれば、
「直木賞作家」という、巷に影響を与えやすい立場にいる者が、「新聞」という、これまた、一般人に影響を与えやすい場所に、「私は猫を殺している」と書き、それが掲載されたことだと思う。

もしかしたら、坂東さんは「作家的な好奇心」で「こういうことを書けば一般人は凄い抗議してくるだろうなぁ~」と、半ば実験してみたかったのかもしれないし、新聞も「日経新聞」という、ちょっと一般誌とは読者層が違う(女子供はあまり読まない)という立場に甘えたのかもしれない。

この記事で、
坂東さんの「生」とか「その痛み」とかの「内的な部分」には、なんら感じ入ることなく、
生まれたばかりの子猫をそのあたりに捨てたり、外飼いなのに「避妊手術をうけさせない」などという不埒なものどもに「言い訳」を与えてしまったように思えてならない。

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コメント

トラックバックありがとうございます。

坂東さんが意識的に実験してみたかったのかはわかりませんが、それを観察していた私としては興味深い現象を見せつけられました。激しい怒りをぶつけて非難する多くの人たちを見ていると、私は恐怖を感じます。社会が何かもっと過酷な状況になったとき、私なんて真っ先に殺されちゃうんじゃないか…とか。

そして、気になるのは、坂東さんように直接手が下された事柄はこんなに激しく非難されるのに、間にワンステップでも入ると、とたんに人々の反応は薄くなると言うこと。おっしゃるように、ちょっとその気になって調べれば、世の中酷いことは山ほどあるんでしょうね。自分は何もしていないと思っていても、ただ普通に暮らしているだけで、間接的に多くの生き物や人間を苦しめ、殺し続けていると思う。子猫なんて殺さなくても、現代の人間の生は、そのままで十分痛いもののはずです。

投稿: ねこみみ | 2006年8月29日 (火) 23時10分

子猫殺しの人、実はメルトモがこの人の作品を読んでいるといっていたので気になっていたところだったのですが、こんな形で話題になって驚いています。なにやら奇縁を感じました。しかも私が今書いている作品の一つが「負け猫」・・。つい子猫を壁にたたきつけて殺しているシーンを入れたくなってしまいました。影響受けやすくて困ってしまいます。今回の子猫殺し騒動は、すべてが文章の世界で行われている現象であるというところを注目しています。エッセーであるとはいえ、作家が書いた文章ですから、その内容がなんであれ、読み手の反応があった時点で、文章のパワーというものが気になって仕方がありません。作家が非難叱責を受けようとも書いたものに真剣に人が反応しているのは刺激的です。ある意味では負のパワーかも知れませんが、これがプラスに働けば、言葉にはどのくらい力があるのか試してみたいものです。

投稿: 神門ぺぷし | 2006年8月30日 (水) 13時44分

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» 子猫殺し [新聞、雑誌、本]
 直木賞作家の板東眞砂子さんが日経新聞のエッセイで「飼い猫が産んだ子猫を殺している」と告白した問題。新聞的には毎日新聞が本日の朝刊の社会面のトップで掲載。同じ日の夕刊で、各紙も一斉に取り上げた。  注目は当事者の日経新聞夕刊。「坂東氏エッセーに抗議 本社に600件」と伝えている。日経は「個々の原稿の内容については、原則として、筆者の自主性を尊重しています。さまざまなご意見は真摯に受け止めています」と、編集局のコメントを載せているが、毎日の朝刊のコメントとほぼ同じで、どこか他人事のような淡々とした感じ... [続きを読む]

受信: 2006年8月26日 (土) 00時05分

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